最終更新日 2025年3月9日
人の生活は基本的に毎日同じことの繰り返しで成り立っています。
学生であれば朝起きて通学し、学校で授業を受けて帰宅する。
社会人であっても学校が会社に変わっただけで、多くの人たちは会社で学校でいう勉強という名の仕事をすることになる。
仕事や学校のほかにも、友達と遊んだり恋人と過ごしたり趣味に費やしたりなどの余暇の時間がある。
人によってどれぐらいの余暇が一日の間にあるかは異なりますが、基本的には人間の生活は仕事(学校)と余暇を繰り返すだけの毎日なのが事実です。

そうした充実感こそ、生きるのに値するだけの価値があり、ひたすら長い人生に大きな意味を見出してくれるものなのです。
しかし、現代人の多くは毎日に充実感をまるで感じていなく、毎日嫌気を感じながら会社へと向かっています。
では、一体どうすれば毎日の生活に充実感を感じることができるのか。
そこで重要になってくるのが「生活ルーティン」です。
生活ルーティンは心の充実に必要なもの
はじめにも言ったように、大きな観点から見れば、私たち人間の生活は基本的にはルーティンで成り立っています。
学校や仕事へ行き、帰ってきてから余暇を過ごしてから寝る。
端的に言ってしまえば、人間の生活はただそれだけのことです。
そうした毎日を過ごしていれば、繰り返す日々に嫌気が差したり、人生に退屈したり、心が寂しくなったりするときもあります。
そこで必要なのが「生活ルーティン」です。

たとえば、朝起きて顔を洗って歯を磨き、化粧水をつけてからヘアセットするのはモーニングルーティンであり、寝る前にストレッチをしたりハーブティーを飲んだりするのはナイトルーティンです。
生活ルーティンは人によって異なり、朝起きたらまずスマホを見る人もいれば、ベッドメイキングしてコーヒーを淹れるのがモーニングルーティンになっている人もいます。
あるいは、ルーティンなんて何もなく、毎日気分によって行動しているという人もいるでしょう。
ですが、生活ルーティンを持つことは、毎日繰り返すだけの日々に刺激を与え、心の充実を感じるために必要なものです。
一見、生活ルーティンは「めんどくさいもの」と思うかもしれませんが、自分で決めたルーティンであれば、それを守ることで心の充実が得られます。
逆に言うと、生活の中に自分で決めたルーティンがないからこそ、毎日がただ同じことの繰り返しで、充実感も感じられないのです。
生活ルーティンは主体性が鍵
生活ルーティンのようなものを持つことが、縛られているように感じて、逆にストレスになるという人は少なくありません。
「毎日こうしよう」とルーティンを持つと、それを「やらなければならない」と思い、それがストレスになってしまうというパターンです。
でも、生活ルーティンがストレスになるのは、「やらならなければならない」と感じるときであって、「やりたい」と感じているルーティンはストレスにはなりません。
たとえば、誰か他人から「毎日〇〇をしてください」と言われると、それを「しなければならない」という意識が生まれるため、その生活ルーティンはストレスになりやすいです。
ですが、他人ではなく自分で「こうしよう!」と決めたルーティンであれば、それをすることはストレスではなく、達成感や充実感に代わってきます。
つまり、生活ルーティンは主体性が鍵なのです。

これは仕事でも同じで、仕事でも「あれやって」「これやって」と指示を受け、ただ言われたとおりにやるだけでは達成感や充実感なんてこれっぽちもありません。
でも、自分の頭で「こうしたらいいんじゃないか」「こうすればうまくいきそう」と試行錯誤しながら主体性を持って仕事に取り組むと、その仕事からは達成感や充実感が得られます。
人は自分で判断し、決断し、行動することでしか充実は感じられません。
生活ルーティンにおいても、自分で決めたルーティンを守るからこそ、生活ルーティンが毎日に充実感を与えてくれるのです。
生活ルーティンの中で生きる充実感
最近見たお気に入りの映画のひとつに、「PERFECT DAYS(パーフェクトデイズ)」があります。
この映画の主人公は、毎日自分のルーティンを守りながら生活しています。
朝は毎日同じ時間に近所のほうきの音で目を覚まし、パパっと布団を畳んでから、歯を磨く。
ヒゲを剃って顔を洗い、霧吹きで植木に水をあげる。
それから仕事の制服に着替え、玄関に並べてある財布、カメラ、鍵、小銭を取る。
外に出て空を見上げ、自販機でコーヒーを買う。車に乗ってからコーヒーを一口飲み、カセットテープで今日の音楽を選ぶ。
仕事に行ってからも彼はルーティン通りに仕事をしていきます。

お昼休憩は公園のベンチで空を見上げながらサンドイッチを食べ、カメラで木漏れ日を撮るのも日課。
仕事が終わった後は、一度家に帰って着替えてから自転車で銭湯へと向かう。
銭湯に着く時間も開店時間ぴったりで、ここでの彼の生活ルーティンのこだわりが見えます。
お風呂に入った後は、毎日行きつけの居酒屋でご飯を食べながらお酒を飲む。
家に帰ってからは布団に入りながら本を読み、眠気とともに眼鏡をはずして寝る。
主人公である平山は、毎日この生活ルーティンの中で生きています。
たまにイレギュラーな出来事があったりもしますが、基本的には平凡な毎日を繰り返すだけの生活を送っています。
ですが、彼の顔や心の中にはしっかりとした充実感があり、彼なりの満足した生活、つまりパーフェクトデイズを送っているのです。

自分だけの生活ルーティン、自分だけが思う完璧な日々を生きる人間の生活はどこまでも美しい。
自分だけの生活ルーティンをつくる
生活ルーティンは持つことは心の充実につながりますが、だからといって何もかも完璧にルーティン化すればいいというわけではありません。
生活ルーティンは主体性が鍵ですが、あまりにもルーティンにこだわりすぎると自分の生活の奴隷になってしまいます。

たとえば、たまにルーティンから逸脱して家族や友達、恋人と過ごす時間をつくる。
自分で決めた生活ルーティンは「やらなければならないこと」ではないので、破ったとしても罪悪感やストレスは感じません。
生活ルーティンにこだわりすぎると自我が肥大化し、他人が自分の人生から排除されてしまいます。
だから、意図的にルーティンを破り、予測できない関係性の中に身を投じるのも大切なことです。
はじめは、生活ルーティンの中で生きるのに息苦しさを感じるかもしれませんが、自分のやりたいことで埋め尽くされた生活ルーティンであれば、必ず達成感や充実感が得られます。
完全にルーティンが自分のものになれば、歯を磨くときのように意識することなく、ルーティン生活を送ることができる。
生活ルーティンは自分を縛るものでも、ストレスを感じるものでも、息苦しさを感じるものでもありません。
完璧に完成された自分の生活ルーティンを送ることは、自分の人生の主導権を取り戻すことです。
毎日の生活に充実を感じられない人は、自分だけの生活ルーティンを築き上げ、自分にとってのパーフェクトデイズを完成させてみてください。