最終更新日 2025年4月15日
「好きなことを仕事にする」という考えは、昔から人気がある考え方だ。
好きなことを仕事にすればストレスもなく、毎日自分らしく楽しく働き、それでいてお金まで稼ぐことができる。
自分の好きなことを仕事にできると想像してみよう。
おそらくほとんどの人は今よりも生活の質が上がり、ストレスもなくなり、活き活きと仕事ができるだろう。
近年はYouTubeをはじめ、InstagramなどのSNSを通じて自分の好きなことを発信してお金を稼いでいる人が増えている。
食べるのが好きな人は地元の美味しいお店を紹介したり、筋トレが好きな人はトレーニングに関する知識を発信したり、写真が撮るのが好きな人はSNSに投稿したり、歌うのが好きな人は歌ってみたなどの動画を投稿する。
現代はデジタル革命により、誰でも自分の好きなことを発信し、自分の好きな仕事でお金を稼ぐチャンスがある。
インターネットがなかった時代から見ると、まるで夢のような環境だ。
しかし、だからといって安易に好きなことを仕事にするのはおすすしない。
好きな仕事をするのは素晴らしいことだが、「好きなことを仕事にすれば働くことも苦ではなくなり、楽しくお金を稼げる!」と思っているのなら、やめておいたほうがいい。
なぜなら、それは「好きことを仕事にする」という言葉に込められた幻想であり、現実を直視できていないからだ。
安易に好きなことを仕事にするな
まず前提として、好きなことを仕事にするのはとても素晴らしいことである。
誰にだってこの世界の中で、好きなことは何かひとつくらいはあるだろう。
食事、睡眠、性行為、恋愛、音楽、写真、読書、旅行、運動、スポーツ、マンガ、アニメ、ゲーム、アイドルなど。
自分の好きなことを仕事にしてお金を稼ぐことができれば、おそらく多くの人は今の仕事よりも幸せを感じられるだろう。
だが、好きなことを仕事にするというのはそんなに簡単な話ではなく、勢いだけで好きなことを仕事にするとほとんどの人は失敗する。
はじめにも言ったように、現代では誰でも自分の好きなことを仕事にするチャンスがあり、インターネットさえあれば、誰もが自分の好きなことを発信することで、好きなことを仕事にすることができる時代だ。
インターネットがない時代で好きなことを仕事にするには、ラーメンが好きならラーメン屋を開くといったことしかできなかった。
でも現代では、ラーメンが好きならラーメンの情報をSNSで発信すれば、好きなことを仕事にできる。
しかし、「ラーメンが好きだからラーメンに関する情報を発信しよう!」という考えで、好きなことを仕事にするのは間違いである。
「ゲームが好きだからゲーム実況をしよう!」「アニメが好きだからアニメの解説動画を作ろう!」「アイドルが好きだからアイドルに関する情報を発信しよう!」というのも、すべて間違いだ。
これは好きなことを仕事にして後悔するパターンであり、もしこのような考えで好きなことを仕事にしようか考えているのなら、アドバイスはひとつ。
好きなことを仕事にするな。
「好きなこと」と「届ける作業」はまったくの別物
では、「ゲームが好きだからゲーム実況をしよう!」「アニメが好きだからアニメの解説動画を作ろう!」「アイドルが好きだからアイドルに関する情報を発信しよう!」という考えの何が間違いなのか。
それは、「好きなこと」と「好きなことを届ける作業」は別物だからだ。
好きなことで稼ぐためにブログやYoutube、SNSをはじめても、そこで提供するコンテンツは好きかもしれないが、文章を書くことや動画を編集するという作業が好きでなければ、それは「好きな仕事をしている」とは言えない。
アニメが好きでアニメについてのブログを書こうと思っても、ブログを書くのが苦手であれば、それは好きな仕事ではなく、苦痛を伴う仕事である。
本が好きな人が本屋で働くのがナンセンスなのと同じで、たとえ本が好きだったとしても、本の手触りや匂いが好きな人は本屋で働くのは天職かもしれないが、接客が苦手な人は本が好きでも本屋で働くのは苦痛でしかない。
ゲーム実況にしても、ゲームは好きでもしゃべることが得意でない人がやっても、おもしろくもなんともないだろう。
むしろゲームすることを重荷に感じ、ゲーム自体が嫌いになってしまうかもしれない。
好きなことを仕事にすると嫌いになることがあるのは、好きなことと好きなことを届けるための作業の違いを考えていないからである。
たとえマンガが好きだとしても、マンガを書くという作業が好きでなければ、マンガ家になるとマンガが嫌いになっていくだろう。
好きな気持ちよりも、作業から受ける苦痛のほうが大きい状態。
これが好きなことを仕事にすると嫌いになるという現象のカラクリである。
好きなことで稼ぐには「作業を愛せるか」が鍵
本当の意味で好きなことを仕事にするためには、好きなことはもちろんのこと、その好きなことを届ける作業も好きでなければならない。
私がやっているライターという仕事も同じだ。
ただ知識があって、詳しく書けるジャンルがあるからwebライターをやろうと思っても、肝心の文章を書くという作業が好きでなければ、好きな仕事をしているとは言えない。
幸い、私は一日中書けるほど文章を書くのが好きなので、ライターという仕事をやっているが、ただ稼げそう、需要があるからという理由だけで、自分は文章を書くのが好きかを考えずにwebライターをやってもほとんどの人は挫折するだろう。
好きなことを仕事にするために、ブログやSNS、YouTubeやゲーム実況などをはじめる人は多いが、考えるべきはそのコンテンツが好きかどうかではなく、文章を書く、発信する、動画編集する、おしゃべりをすることが好きかどうかだ。
そこが苦手なら、好きなことを仕事にしても、結局はなにも変わらず、仕事からストレスを感じることになるだろう。
だが、「好きなことを仕事にするな」というのは、あくまでコンテンツと作業は別物だよ、という意味であり、もし作業に苦痛が伴うとしても、それ以上に好きな気持ちが強いのであれば、挑戦してみるのもアリだ。
以下の記事でも書いているように、仕事は自分のアイデンティティにもなるもので、アイデンティティとなった仕事からは幸せを感じられる。
安易な考えで好きなことを仕事にするべきではないが、人生はたった一度きりだ。
せっかくこの世界の中で好きなものを見つけたのであれば、苦しみを受け入れた上で好きなことを仕事にしてみるのもいいかもしれない。
恋人の嫌な部分も許せることがあるように、好きという感情は苦痛をある程度和らげてくれる。
「好きなことを仕事にすれば幸せ」という幻想に酔うべきではないが、幸せを感じるためには仕事を好きにならなければならないのも、また事実なのである。
好きなことを仕事にするのはリスクか?幸せか?
好きなことを仕事にするのは会社員よりもリスクが高い生き方だが、もしそれで食べていけるのであれば、今よりも人生が楽しくなるだろう。
会社での業務はやる意味があるのかわからなかったり、誰の役に立つのかも不明で、働く意味がわからなく、やりがいがない仕事を毎日淡々と繰り返していたかもしれない。
だが、自分の好きなことを仕事にするというのは、それだけの情熱があり、自分のやっていることに幸せを感じる瞬間が多いのも事実である。
もちろん、好きな仕事であってもやりたくないことはたくさんあるだろうし、気分が乗らない日もあるが、それでも好きなことを仕事にするというのは、恵まれていて幸せなことなのだ。
会社員だからダメというわけではないし、好きなことを仕事にするのがすごいわけでもない。
でも、人生はたった一回きりなのだから、好きなことを仕事にしたいと思っているのであれば挑戦してみよう。
たとえ失敗したとしても死ぬことはなく、挑戦した自分を誇らしく思えるはずだ。
やりたい仕事がわからない人は、以下の記事も読んでみよう。
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