最終更新日 2025年3月7日
人は「傷つけたこと」ではなく「傷ついたこと」ばかり思い出す。
人は「助けられたこと」ではなく「助けたこと」ばかりが浮かんでくる。
人は「他人のこと」ではなく「自分のこと」ばかり考えてしまう。
人間は誰しも自分を中心に物事を考える癖があります。

たしかにそうです。自分の人生や状況、環境が好ましくないのに、他人や周りのことばかり気にしていても仕方ありません。
他人を幸せにできるのは、自分が幸せになっているからこそできること。それが一般的な認識です。
でも真実は逆で、自分が幸せになりたいのであれば、他人を幸せにする必要があります。
つまり、他人の幸せを願う人が、自分の幸せを感じられるのです。
他人の幸せを願う人が幸せになれる
「他人を幸せにできるのは、自分が幸せになっているからこそ」というのは、本当にそうなのか?
ホームレスは他人を幸せにはできないのか?
自分の人生に満足していなければ、他人を満足させることはできないのか?
まずは自分が幸せになるためには、他人や周りは放っておいてもいいのか?
アドラー心理学で有名なアルフレッド・アドラーは、「幸せになりたいのであれば、他人を喜ばせることをせよ」と述べています。

まずは他人を幸せにする。それから自分の元に幸せが訪れるという構図です。
そしてアドラーは、「今自分が不幸だと思っている人は、自分のことばかり考えているから不幸なのだ」とも述べています。
つまり、自己中心的な考えこそ、自分を幸せから遠ざけ、充実した人生からも遠のいていく。
だとすれば、一般的に言われている「まずは自分。それから他人のことを気にかけろ」という風潮は間違いということになります。
自分のことに集中するのは、充実した人生を送りたいと思うからですが、目的が「充実や幸せ」で「自己中心的に生きること」ではないのであれば、自分本位な考えや行動をする意味はありません。
他人の幸せを願う人でなければ、自分の元に幸せはやってこないのです。
自分のことばかり考える人は不幸になる
多くの人は目的に向かって生きているのであって、手段に生きているわけではありません。
あえて遠回りを楽しむタイプの人でもない限り、目的から遠ざかる行動をしたいと思う人はいないはずです。

「傷つけたこと」より「傷ついたこと」、「助けられたこと」より「助けたこと」、「他人のこと」より「自分のこと」を考えるのは、幸せになりたいという目的があるからです。
これをアドラー心理学では「目的論」的な考え方といいます。
でも、人は目的に沿って合理的な行動をするのが苦手です。
本当なら、目的から論理的かつ合理的に道筋を立てて行動すればいいのにも関わらず、つい目先の欲に飛びついてしまう。
自分が「されたこと」よりも「したこと」を考えるのは、幸せにはつながりません。
「されたこと」に対して感謝を述べ、「自分のためにしてくれた」という事実が喜びにつながります。
一方、「したこと」ばかり考えている人は、次第に見返りを求めだし、「自分はこんなにしてるのに、相手はなにもしてくれない」と不満を述べます。

他人の幸せを願うのではなく、自分のことばかり考えている人が幸せになれないのは、人間が本来は社会的な動物であり、社会や他人のことを考えて生きる生き物だからです。
そして、自分の価値がわからなくなるのも、他人の評価のことばかりを気にして、自分のことばかりを考えているからなのです。
他人の幸せを願う=他人に貢献する
自分がしたことばかりを考えるのは、人間が自己中心的な生き物だからにほかなりません。
決して自分の性格が悪いわけではなく、人間とはそういう生き物なのです。
しかし、それと同時に人間は社会的な動物でもあり、社会や仲間、共同体のことを考えて生きる生き物でもあります。
自分ばかりに集中して生きている人や、自己中心的に生きている人は往々にして不幸を感じています。

これについては、以下の記事でも詳しく述べているので、ぜひ読んでみてください。
では、幸せになりたい人は、実際にどうすればいいのか?
それは、他人の幸せを願い、他人や社会のことを考えて行動していくしかありません。
他人の幸せを願うというのは、「自分の人生を蔑ろにする」こととは違います。
自分のやるべきことや、やりたいことを淡々とこなしつつ、他人や社会の役に立つことをする。
アドラー心理学でいう「貢献感」というものです。
つまり、他人の幸せを願うというのは、他人に貢献するという意味。
「他人の幸せを願う人」が幸せを感じられるのは、貢献感、人の役に立つのが人間の本当の幸せだからです。
自分だけの幸せでは、人は幸せにはなれず、自分の居場所も感じられません。
他人の幸せを願う人が幸せを感じられる理由
「自分さえ良ければそれでいい」と考えている人と、仲良くなりたいと思う人はいないでしょう。
自己犠牲的な考えを持つのは避けるべきですが、自己ばかりに執着してもいけません。大事なのは両方のバランスです。

まずは自分、まずは自分と、あたかも自分さえ良ければ周りの物事もうまく進むと思っています。
でもそうじゃなく、真理は得てして大半の人の真逆にあるものです。
自分が幸せにりたいのであれば、他人の幸せを願い、他人に貢献していかなければなりません。
近年は個性や個人主義といった、自分ばかりにフォーカスする生き方が注目されていますが、人は1人では幸せにはなれないのです。
自分の個性を大事にしつつも、他人や社会に貢献する意思を持ち、実際に行動することで他人や社会の中に自分の居場所を感じる。
それが、他人の幸せを願う人が幸せを感じられる理由です。
必死に努力してるのにどこか虚しさを感じたり、自分の好きなことばかりやっているのに空虚感を感じる人は、一度立ち止まり、自分本位になりすぎていないかを考えてみましょう。
自己中心的な生き方の先には、自分が人生に求めているものはありません。